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開幕が目前に迫った2008年Xリーグ。鹿島ディアーズは9月15日の緒戦から2009年1月3日の頂点を目指し、長い戦いへ突入する。昨年のFINAL6一回戦、オービックシーガルズとの死闘で涙を呑んだ、栄主将率いるディアーズは、悔しさをバネに、着実な歩みを刻み、今春4年ぶりにパールボウルを制した。しかし、パールボウル優勝は通過点にすぎない。目指すところは唯一つ、日本一のみ。主将3年目。「勝負の年」。史上2チーム目の春秋連覇を目指すディアーズが、日本一を達成するためのキーワードを栄主将が語る。
 鹿島DEERSキャプテン  栄 貴浩

―まずは、昨年を振り返ってみてください。昨年は、目標としていた日本一には届かず、最終結果がFINAL6一回戦での敗退となってしまいました。

そうですね。残念ながら、目標としている日本一には届きませんでした。 シーズンを振り返ってみると、レギュラーとして出場している選手が、チームを勝利に導けなかったこと。 それから、チーム全体としての層を厚くできなかったことが、日本一に届かなかった要因だと思います。 最後に敗れてしまったオービック戦でも、最終の4クォーターに同点に追いつかれてタイブレークで負けてしまったのですが、 あの辺はチームとしての層の薄さや、レギュラー陣の能力の差がでてしまったのだと思います。

―レギュラー以外の選手の伸びしろが少なかったということでしょうか?

いや、両方ですね。レギュラー以外の選手のボトムアップも必要だったのですが、 チームを引っ張るレギュラーの選手もあまり伸びなかった。両方だと思います。 全く伸びていないということではなかったのですが、チームとしても個々としても、 もっと成長しないといけなかったと思います。

―昨年は、栄体制としては2年目でしたが、1年目と比較して2年目はご自身でどのように評価されていますか?

1年目で、主将という立場の感覚はつかめたと感じていて、 2年目はもっとチームをまとめられるという自信はありました。 しかし、ワールドカップの日本代表候補でチームを離れる時間が多かったり、 代表候補の練習で怪我をしてしまい、夏の大事な時期にグランドに立って練習ができませんでした。 正直、昨年は自分が理想としていた主将らしいことは何も出来ませんでした。 なめていた訳ではありませんが、主将として結果を出すということは、そんなに甘くないということを思い知った一年だったと思います。

インタビューを受ける栄主将 ―今年、主将3年目を迎えるにあたり、どのようなチームを作りたいと考えていましたか?

昨年のシーズンを通じて感じたことは、 選手個々がレベルアップしていかないとFINAL6は勝ち抜けないということでしたので、 今年は、変化ということにこだわってチームを作っていきたいと思いました。 選手個々が変化して成長し、それがチーム全体にいい影響を与え、優勝を狙えるようなチームにしたいと考えました。

―そのようなチームを作るために、栄主将自身がやるべきことは、どのようなことだと考えていましたか?

今年、春シーズンが始まる前に心に決めたのは、まずは自分自身が一番充実したシーズンを送ろうということです。 昨年は、怪我で満足に練習もできなかったですから、今年は、毎練習グランドに立って皆と思いっきり練習がしたい。 自分自身のプレーでチームを引っ張っていきたい、と思っていました。 言葉で色々と言うよりも、先頭に立ってやる方が周りには伝わりやすいですし、 主将がグランドに立ってないとチームは引き締まりませんから。

―今年は、副主将が一新されました。

そうですね。金、村井、丸田が新しく副将になったのですが、 3人とも凄くチームをサポートしてくれていると思います。 周りに対しても遠慮なく発言してくれていますし、 練習での姿勢も幹部としての役割を果たしてくれていると思います。

―春シーズンで成長した選手はいますか?

若手は凄く伸びてくれたと思います。 成長幅に個人差はあると思いますが、全体的に成長してくれたのではないかと思います。

―個々のレベルアップというのは、今年、栄主将が必要だと感じていた部分だと思いますが、ここまでは、うまくいっていると言っていいでしょうか?

そうですね。成長している若手の中で、秋本番にブレイクしそうな選手もいますし、 そういう選手の活躍が、チームの層を厚くして、チーム力を上げてくれるのだと思います。

タックルを決める栄選手 ―今年のチームスローガンである「Unite for change」について教えてください。

意味は『変革のために結束する』という感じでしょうか。 このスローガンの最も重要なところは、やはり"変化"を起こさないといけないというところです。 個々が成長するために変わっていく。そして、チームとして一つになるために変わっていく。 日本一に向けて、"変化"を起こし、チームとして"結束"する。これが、今年掲げたスローガンの意味です。

―"変化"を求めた今年、春のパールボウルでは、優勝と結果を出しました。

パールボウル優勝という結果はよすぎましたね。 ただ、選手が成長するとか、変化している自分を確かめるという意味では、 パールボウルの決勝という舞台は、非常に大きな舞台でしたので、 あの大歓声の中でプレーして優勝できたということは、若い選手にとっては、いい経験になったと思います。 しかし、パールボウルを優勝したことで、満足してはいけないと思います。 過去のデータを見てみても、パールボウルで優勝したチームが、秋に日本一なったケースは一度しかない訳ですから。 秋に向けて、さらに気持ちを引き締めていかないといけないということは感じていました。

―勝って兜の緒を締める?

そうですね。優勝はしましたが、負けた時と同じくらい反省する。 パールボウル決勝でも、試合は勝ちましたが、内容では完敗でしたから。 あの試合では、相手が自らミスを犯してくれましたが、 それを、自分たちの力で相手にミスを起こさせるようにならないといけない。と、思いました。

明治安田戦の栄選手 ―春シーズン終了から秋のリーグ戦へ向けた夏の練習はいかがでしたか?

今年の夏はいい練習ができたと思います。 先ほどもいいましたが、パールボウルに優勝したとはいえ、内容が完敗でしたから、チームに慢心は全くありませんでした。 夏合宿も天候に恵まれて、緊張感のあるいい練習ができましたし、 けが人もほとんど出ずチーム状態は例年になくいいと思います。

―いよいよ秋のリーグ戦を迎えますが、ターゲットにしているチームはありますか?

まず、セントラルディビジョンで言えば、オービックーIBM。 イーストディビジョンで言えば、オンワードーアサヒビール。 昨年の上位チーム同士の対戦が開幕節にあるということで、この4チームが、この一戦に賭ける思いというのは、凄いものがあると思います。 しかし、我々も、相手が違うとはいえ、このチームに負けないくらいの集中力で開幕戦を迎えて、 いい内容の試合をしなければいけない。 それが、できるかどうかで、今年のチームの成績が変わってくると思います。 ですから、緒戦のロックブル戦に全てをぶつける。これが、まず我々が目指さなければいけないターゲットです。

―3節目のIBM、最終節のオービック戦がFINAL6進出へ向けての大きな山と言われていますが。

確かにIBMもオービックも強いと思います。 しかし、2節目のライオンズもいいチームですし、ロックブルも東京ガスも決して気を抜ける相手ではありません。 どのチームもそれぞれスタイルが異なりますから、 一戦必勝で、毎試合に全力を出して戦うということを意識しないといけないと思います。

―FINAL6を勝ち上がり、日本一をつかみ取るために、一番必要なことは何でしょう?

結束ですね。Unite for changeというスローガンにも込めた意味ですが、 これが一番重要だと思います。66人の選手、コーチ、スタッフ、ファン。 それだけの人が一つになれば不可能なことないと思います。

―最後にファンの方へ向けたメッセージをお願いいたします。

今年のディアーズは、ファンの方が見ていて、 ワクワクするようなアグレッシブでスピード感のある試合をお見せしたいと思います。 是非、試合会場に来ていただいて、ディアーズへの熱い応援をお願いいたします。 チーム、ファン一体となって日本一を勝ち取りましょう。



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