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2002年5月18日(土) PEARL BOWL TOURNAMENT 準決勝
DEERS VSアサヒビールシルバースター 会場:横浜スタジアム
試合開始時刻:14:00
試合終了時刻:16:10
チーム名 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
鹿島ディアーズ 0 7 0 7 14
アサヒビール 3 0 0 7 10

得点経過
              
チーム名 Q 時間 Play Player(S) Yard TFP Playrer(S) G/NG
アサヒビール 1 10:59 FG #46泉 26 K    
鹿島 2 2:14 Rush #35平手 3 K #9田中 G
アサヒビール 4 1:12 Rush #23波武名 15 K #46波泉 G
鹿島 4 9:19 Pass #8鈴木→#82八百板 1 K #9田中 G

内容 鹿島 アサヒビール
1.ファーストダウン
回数
8 15
2.攻 撃
回数-獲得ヤード
47-179 Yds 67-285 Yds
 (パ ス)
試投-成功-インターセプト-獲得ヤード
23-13-0-106 Yds 31-17-0-177 Yds
 (ラ ン)
回数-獲得ヤード
24-73 Yds 36-108 Yds
3.反 則
回数-損失ヤード
4-25 Yds 3-5 Yds
4.ファンブル
回数-喪失
1-1 1-1
5.フィールドゴール
回数-成功
1-0 2-1
6.ボール所有時間
(1Q12分・計48分)
18:46 29:14

解説

心配された雨も何とか上がって、まずまずのコンディションの中、DEERSのキックオフで試合開始。両チーム1回ずつパントを蹴りあったあと、DEERSに大きなミスが出る。シルバースター(以下SS)のパントをリターナーが処理を誤り、ゴール前15ヤードでSSのファーストダウンというピンチ。しかし、LB#4大林、SF#27藤井(久)らの好プレーで何とか凌ぎ、FGの3点という最小失点で切り抜ける。
この試合のスタートQBはここ2試合と同じく#15岩野。しかし、SSの守備相手に思うようにリズムに乗ることができず、パントの連続。DEERSディフェンスもSSにボールコントロールされ、試合は完全にSSペースで進む。ワンサイドゲームになったとしてもおかしくない展開であったが、この劣勢を救ったのはK/P#9田中のパント。絶妙のコントロールで40ヤード以上陣地を回復するパントを連発し、何度もピンチを救う。
DEERS最初のタッチダウンも田中のパントがきっかけであった。田中のパントでSSを相手陣7ヤードからの攻撃に追い込むと、SSはQBからRBへのハンドオフが乱れ、ボールをファンブル。これをDT#76舘内が押さえて、DEERSはゴール前6ヤードからの攻撃という願ってもないチャンスを得る。ランプレー3回で6ヤードをきっちり奪い、7-3と逆転。(K#9田中のキック成功)
このあと前半終了間際には、SSにゴール前20ヤードまで攻め込まれるものの、37ヤードのFGは失敗に終わり7-3で前半を終了する。

後半に入っても、両チームとも攻撃に決め手を欠きパントの応酬となる。攻撃でSSが上回る分をDEERSはパントで挽回して、何とか食らい付いているという前半と全く同じ展開。
この均衡を先に破ったのはSS。QB東野からTE橋詰へのパスを中心にゴール前15ヤードまで攻め込まれ、最後は今季ベアーズから移籍したRB波武名の15ヤードタッチダウンランを決められて7-10と逆転を許す。
4QになってDEERSはQB#8鈴木を投入し、ここまでファーストダウンを僅か1回しか更新していないオフェンスのリズムを変えようとする。鈴木は期待に応えWR#7植村、TE#82八百板にパスをヒット。あっという間にゴール前20ヤードまで迫る。しかし、ここから攻めきることはできず36ヤードのFGを狙うもこれを失敗。同点のチャンスを逃す。
次のシリーズはディフェンスが踏ん張ってパントに追い込み、DEERSは自陣34ヤードからの攻撃開始。QB鈴木はWR#87板井、新人WR#18松永(この日は#22を着用)にパスを成功させダウンの更新を重ねる。4thダウンギャンブルでFB#41池元へのパスを成功させて切り抜けた後は、更にWR#28酒匂、TB#35平手へのパスも次々と成功させ、ゴール前11ヤードでファーストダウン。3rdダウンで6ヤードが残るも、TB平手がよく走りゴール前1ヤードでダウンを更新する。ここでQB鈴木からTE八百板へのパスが決まって14-10とついに逆転に成功する。
残り時間は3分を切ったものの勝負の行方はまだわからない。SSはQB東野のパスで猛反撃。一度はギャンブル失敗するが、続くDEERSの攻撃を3回で止めたあと、パントをブロック。SSは自陣47ヤードから攻撃を開始。残り時間は46秒。QB東野からTE橋詰へのパスを次々と成功させゴール前15ヤードまで迫るが時間が足りず試合終了。DEERSは辛くも逃げ切ることができた。

●ボールコントロール
DEERSのディフェンスは、進まれた割には失点を10点だけによく押さえたという見方もできます。しかし、ズルズルと進まれることによって相手がボールを所有する時間("TOP"=タイム・オブ・ポゼッション)が長くなってしまいました。これは相対的にDEERSの攻撃できる時間が短くなることを意味します。DEERSの3Q終了時点での攻撃回数は僅か25回(ファーストダウン獲得に至っては何と1回のみ!!)。オフェンスが自力でダウンを更新できなかったことが直接の原因であることはもちろんですが、なかなか攻撃のチャンスが回ってこないことでリズムが掴めなかったことも否定できません。
フットボールでは、「最も確実なディフェンスとは相手のオフェンスをフィールドに出させないこと」と言われます。ディフェンスだけが頑張るのではなく、自チームのオフェンスができるだけ時間を使いながら攻めることで相手オフェンスの攻撃回数を減らして失点を極力少なくする、というのもフットボールの常套手段です。もちろんその攻撃もできるだけ時間を消費するようなプレー、つまりランプレーやサイドラインの外に出ないプレーを意図的に多く使います。これを「ボールコントロール」と言います。
今回の試合では、シルバースターが意図的にそうしたのかどうかは分かりませんが、結果的にはDEERSは完全にボールコントロールされてしまいました。NFLの試合後の統計では必ずタイム・オブ・ポゼッションという項目があります。どちらのチームがより長くボールを支配したかがその数字を見ればひとめでわかります。もし、統計にこの項目があったらその数字と得点やその他の数字との関係に注目してみてください。何か新しい発見がありフットボールが更に面白くなるかも知れません。オフェンスとディフェンスが意外な所で関係しているということがご理解頂けましたでしょうか?

●パント
試合後の統計を見ると、DEERSは獲得ヤードで100以上下回っていますし、ファーストダウン獲得数も約半分となっています。試合の行方を左右するターンオーバーの数も、双方1回ずつ(いずれもファンブル)。外したFGの数も1回ずつ。更に言えば反則で下がったヤードもDEERSの方が多く、どれひとつをとってもDEERSが勝っているものはありません。
ではどうして試合に勝つことができたのでしょうか?最大の要因はK/P#9田中のパントです。絶妙なパントでフィールドポジションを一気に挽回し、何度もピンチを未然に防いでくれました。パントは、ミスをしたとき以外目立つことは少ないですが、ロースコアの試合展開になった時は、チームの勝敗を直接左右する非常に大事なプレーです。この試合では「フットボールは陣取り合戦である」ということを改めて認識していただけたと思います。



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